先日の「病院だより」に少し記載しましたが、第9回日本獣医再生医療学会において学会賞である「会長賞」を受賞いたしました。
共著者である小滝橋動物病院の中村院長と多くの手助けを頂いた同スタッフの皆様に深く感謝いたします。
「日本獣医再生医療学会」は、再生医療という新しい分野を獣医療に取り入れ、難治性疾患に対する治療の試みや、安全性に対する評価検討などを目的とした学会です。産業界、官公庁、大学、臨床の垣根を越えて様々なディスカッションが行われます。
今回、「脂肪由来間葉系幹細胞による治療が奏功した慢性腎不全の犬の一例」の発表に対し、学会賞を頂きました。
内容を簡潔にまとめると、
腎臓の機能がうまく働かないわんちゃんに、そのわんちゃん自身の脂肪に含まれる幹細胞(かんさいぼう:様々な細胞に分化できる細胞)を投与したところ、腎臓の機能に改善が見られたという内容です。
もう少し深く掘り下げると、
脂肪由来間葉系幹細胞の投与により血中エリスロポエチン濃度の上昇とそれに伴う貧血の改善、血中尿素窒素、クレアチニン、そしてシスタチンC濃度の大幅な改善が認められました。考察としては、幹細胞または誘導されたマクロファージより産生されるIL-10が、エリスロポエチン産生細胞より産生されるIL-6を抑制し、一部のエリスロポエチン産生細胞の正常化を導いたのではないかと考えました。
少し難しいお話でしたので、かわいい写真を足しておきます。
現在、当院では、再生医療・細胞治療を提供すべく病院内の改装を行っています。
がんに対する活性化リンパ球療法(参考:前回の病院だより)、脊椎損傷や難治性疾患に対する間葉系幹細胞療法など提供していく予定です。
がんに対する活性化リンパ球療法(参考:前回の病院だより)、脊椎損傷や難治性疾患に対する間葉系幹細胞療法など提供していく予定です。
井上動物病院 井上 快
<追記>
重度の椎間板ヘルニアになり、手術後、後肢の麻痺が改善しなかったわんちゃんに対して幹細胞療法を行い、走ってボール遊びも出来るようになった症例の発表も行いました。
そのお話は後日したいと思います。
重度の椎間板ヘルニアになり、手術後、後肢の麻痺が改善しなかったわんちゃんに対して幹細胞療法を行い、走ってボール遊びも出来るようになった症例の発表も行いました。
そのお話は後日したいと思います。
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