2015年3月30日月曜日

学会賞を受賞しました。





先日の「病院だより」に少し記載しましたが、第9回日本獣医再生医療学会において学会賞である「会長賞」を受賞いたしました。

共著者である小滝橋動物病院の中村院長と多くの手助けを頂いた同スタッフの皆様に深く感謝いたします。


日本獣医再生医療学会」は、再生医療という新しい分野を獣医療に取り入れ、難治性疾患に対する治療の試みや、安全性に対する評価検討などを目的とした学会です。産業界、官公庁、大学、臨床の垣根を越えて様々なディスカッションが行われます。

日本獣医再生医療学会会長の岸上先生と一緒に

今回、「脂肪由来間葉系幹細胞による治療が奏功した慢性腎不全の犬の一例」の発表に対し、学会賞を頂きました。


内容を簡潔にまとめると、

腎臓の機能がうまく働かないわんちゃんに、そのわんちゃん自身の脂肪に含まれる幹細胞(かんさいぼう:様々な細胞に分化できる細胞)を投与したところ、腎臓の機能に改善が見られたという内容です。


もう少し深く掘り下げると、

脂肪由来間葉系幹細胞の投与により血中エリスロポエチン濃度の上昇とそれに伴う貧血の改善、血中尿素窒素、クレアチニン、そしてシスタチンC濃度の大幅な改善が認められました。考察としては、幹細胞または誘導されたマクロファージより産生されるIL-10が、エリスロポエチン産生細胞より産生されるIL-6を抑制し、一部のエリスロポエチン産生細胞の正常化を導いたのではないかと考えました。

少し難しいお話でしたので、かわいい写真を足しておきます。

ふとんはもみを君のです。ハル君のは別にあります。


現在、当院では、再生医療・細胞治療を提供すべく病院内の改装を行っています。

がんに対する活性化リンパ球療法(参考:前回の病院だより)、脊椎損傷や難治性疾患に対する間葉系幹細胞療法など提供していく予定です。


井上動物病院 井上 快


<追記>
重度の椎間板ヘルニアになり、手術後、後肢の麻痺が改善しなかったわんちゃんに対して幹細胞療法を行い、走ってボール遊びも出来るようになった症例の発表も行いました。
そのお話は後日したいと思います。


2015年3月24日火曜日

第10回日本獣医再生医療学会で発表を行いました。




3月21日、22日の二日間、両国(東京)のKFCビルにて第10回日本獣医再生医療学会が行われました。


学会には200名近くの臨床獣医師、大学関係者、省庁関係者が全国から集まり、学術発表、最新情報の交換と今後の展望についてディスカッションを行いました。



今回は、口腔内悪性黒色腫が疑われ、CAT療法のみを実施し腫瘍の縮小および良好なQOL10か月間維持している犬の1例」について発表いたしました。去年まで勤めていた病院との共同発表になります。


発表概要としては、口の中にできたメラノーマという腫瘍に対して、「活性化リンパ球療法」という腫瘍を攻撃するリンパ球を増やす治療を行ったところ、腫瘍がほぼ消失して良好な生活を維持できるようになったワンちゃんについての発表でした。


左 治療前                               右 治療後

このワンちゃんは高齢で心臓が重度に悪いため、外科療法や放射線療法のリスクが非常に高く、治療選択に苦慮しましたが、麻酔処置の必要ない活性化リンパ球療法を行い、口の中にあった5㎝大の腫瘍が、肉眼では見えなくなるまで小さくすることができました。今も元気に生活しています。

活性化リンパ球療法のながれ

(株)J-ARMのサイトより引用


これまで椎間板ヘルニアで後ろ足が動けなくなった子に対する再生医療や、悪性腫瘍、難治疾患に対する免疫細胞治療に携わってきましたが、当院でも提供できるよう現在準備をしています。これまでの治療例はコラムでまとめたいと考えています。



再生医療、細胞治療は、これから発展する分野です。現在、さまざまな疾患での応用が期待されており、効果としても少しずつ認められてきています。ですが、すべての腫瘍や難治疾患で効果が期待されるものでもありません。ご相談がありましたら、お問い合わせください。


井上動物病院 井上 快


<追記>
日本獣医再生医療学会より、昨年の発表「脂肪由来間葉系幹細胞による治療が奏功した慢性腎臓病の犬の一例」に対し学会賞を頂きました。関係者の皆様に感謝いたします。せっかくですので次回の「病院だより」でまとめたいと思います。




2015年3月10日火曜日

ズーラシアに行った時の写真

先日、ズーラシアに遊びに行きました。

当院から車で10分程度で行けるので、のんびり休日を過ごすのにちょうどよい場所です。



動物のしぐさを見ているだけで楽しい動物園ですが、ちょうど訪れた際にツシマヤマネコのエサやりを見ることが出来ました。

エサの時間を待つツシマヤマネコ

エサのにおいをかぐツシマヤマネコ

魚を食べるツシマヤマネコ

食後に顔を洗うツシマヤマネコ

ツシマヤマネコの生態や現在の状況などいろいろ教えてもらうことができました。

現在、数が減っており、絶滅危惧種に指定されています。ツシマヤマネコに関してはこちらの対馬野生生物保護センターのサイトに詳しく書かれています。興味のある方はぜひ覗いてみてください。




写真を整理している時に、うちのもみをとそっくりだと思い記事にしました。どちらもかわいいです。

左 ツシマヤマネコ    右 イノウエモミヲ


帰り際にチンパンジーと目が合いました。



井上動物病院 井上 快